# 次の時代のシステムのいしずえを作る > 少子高齢化に伴う超人手不足時代を支える高信頼システムプラットフォームを開発しています 株式会社ガーネットは、少子高齢化に伴う超人手不足時代を支える高信頼システムプラットフォームを開発しています。 ### システムによる社会の維持 今後不可避に到来する超人手不足の時代に現代の利便性を維持するためには、社会の多くの部分を情報システムによって置換する必要があります。システムの故障や停止は社会機能の麻痺や重大事故に直結するようになります。 ### 超人手不足、 Zero Human 時代 超人手不足の時代ではシステムの開発、運用、保守の全ライフサイクルにおいて、人間によるこまめな関与はもはや期待できません。そもそも壊れない、壊れても自動で復旧し可能な限り動き続けるという、堅牢性、抗堪性、自律性を持つシステムが必要になります。 ### 形式的検証と設計による高信頼性 私達はこの問題に対して形式的検証と新しい設計に基づいて、Zero Human 時代を支える新しい高信頼システムプラットフォームを開発しています。計算、通信、トラストという現代のシステムの基礎となるコンポーネントを統合し、次の時代を委ねることの出来るシステムの基礎を築きます。 以下にサイトの全コンテンツを掲載します。 ## 会社サイトを改装しました この度、会社サイトを改装しました。 今後ともよろしくおねがいいたします。 --- ## なぜ高信頼システムプラットフォームが必要なのか この記事では、なぜ私達が高信頼システムプラットフォームを開発しようとしているのか、 そしてそれはどのようなものなのかについて考えてみたいと思います。 ## 少子高齢化と高度情報システム いま、少子高齢化の影響が強く認識されはじめており、日本でも2100年までに人口が約6,300万人[^1]にまで減少することが予測されています。 これにより社会のあらゆる側面で人手不足が深刻化し、労働力の不足が社会機能の維持に大きな影響を与えることが予想されます。 移民による労働力の補填も検討されていますが、少子高齢化の流れは世界的なものであり[^2]、また移民も少子化することがわかっています[^3]。 そのため世界的な移民の奪い合いに勝ち続ける必要があり、根本的に持続不可能であり、問題をより複雑にする対応であると言えます。 残された手段は高度な情報システムによる社会の維持です。 社会機能を情報システムに任せることにより、少子高齢化による人手不足を補うアプローチです。 このような社会では、システムの故障、停止、乗っ取りなどは、社会機能の麻痺や重大事故に直結するようになります。 しかし、現代のシステムはこれからの時代を任せられるだけの信頼性が不足しています。 サイバー攻撃による企業システムの停止[^4]や、重要インフラの停止[^5]など、システムの信頼性に関する問題は大きな社会問題として浮上し、莫大な被害が発生しています。 そして超人手不足の Zero Human 時代には、より厳しい制約が課されることになります。 ## Zero Human 時代の高信頼システムプラットフォーム Zero Human 時代のシステムプラットフォームは、 現代のシステムとは求められる性質が大きく異なります。 現代のシステムプラットフォームは、多くの場合で適宜人間が介入することを前提としており、障害、故障が発生した場合は人間が検知し、対応することが期待されています。 しかし、Zero Human 時代では人間の介入が期待できないため、障害や故障に対する許容度が大幅に下がります。 また、どうしても人間の介入が必要な場合でも移動コストが不要なネットワーク経由での介入のみが第一の選択肢となり、物理的な介入へのハードルは非常に高くなります。 このような状況であるため、障害、故障、セキュリティ侵害などは、そもそも起きないことが求められます。 また、人間の介入がネットワーク経由に限定されるため、システムのネットワークへの接続が不可避となります。 そのため、そもそも故障や侵害が発生しない、しにくい、しても影響個所を局限できるという性質、 すなわち堅牢性が強く求められます。 このように、そもそも障害、故障が起きるべきではないが、様々な理由で起きる可能性はゼロにはなりません。 情報システムとしては十分に堅牢であっても、例えば大規模災害などを要因とする物理的干渉に伴う障害、故障は完全に防ぐことはできません。 そのような被害があった場合、直ちに人が介入できず、復旧に長期間を要する可能性があります。 例えば令和6年能登半島地震では、連日約1,000人規模の復旧体制を投入してなお、孤立集落の解消に19日を要しました[^6]。 Zero Human 時代にはこのような大規模な即応体制を組むことは困難であり、物理的な被害からの復旧は大幅に長期化することが予想されます。 そうでなくとも物理的な保守は例えば年に一回の定期巡回によって行うという体制が一般的になると思われます。 このような状況であるため、障害が起きても生き残った機能で極力機能を維持し続けることができることが求められます。 このような性質は抗堪性と呼ばれます。 さらに、Zero Human 時代には多くの点でシステムが自律的に動作することが求められます。 例えば、障害・故障時にシステムが自力でそれらを検知・診断し、回復したり縮退運転を選択したりすることが求められます。 またメンテナンスやアップデート、ハードウェアの更新の際にも、 システムの状態を自律的に管理し、ソフトウェアコンポーネントの自律的な再配置・移動などを行うことが求められます。 このように、Zero Human 時代のシステムプラットフォームは、堅牢性、抗堪性、自律性といった性質を備えることが求められます。 弊社は、高度情報システムによる社会の維持を達成するために、 形式的検証技術と根本からの設計の見直しにより、 超人手不足の Zero Human 時代を支える 高信頼システムプラットフォームの開発に取り組んでいます。 [^1]: 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計) 結果の概要」参考表1 総数,年齢3区分(0~14歳,15~64歳,65歳以上)別総人口及び年齢構造係数:出生中位(死亡中位)推計(p.51), https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp_zenkoku2023.asp [^2]: United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division, "World Population Prospects 2024: Summary of Results," 2024. https://population.un.org/wpp/assets/Files/WPP2024_Summary-of-Results.pdf [^3]: Marianne Tønnessen, "Declined Total Fertility Rate Among Immigrants and the Role of Newly Arrived Women in Norway," *European Journal of Population*, 36(3):547–573, 2019. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7363761/ [^4]: 株式会社KADOKAWAは2024年にランサムウェア攻撃を受け、ニコニコ動画等のサービスが約2か月間停止し、特別損失約23億円、売上高84億円減の被害が発生した。https://group.kadokawa.co.jp/system_failure/ [^5]: 2023年に名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)がランサムウェア攻撃を受け、全ターミナルのコンテナ搬入・搬出業務が約3日間停止した。名古屋港運協会, https://meikoukyo.com/wp-content/uploads/2023/07/0bb9d9907568e832da8f400e529efc99.pdf [^6]: 国土交通省「令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通し(令和6年度末時点)」, 2025年3月. https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo01_hh_000061.html --- ## 弊社社員が2026年3月に開催される国内学会で発表を行います 弊社社員が3月に開催される国内学会で発表を行います。 - [情報処理学会第88回全国大会](https://www.ipsj.or.jp/event/taikai/88/index.html) - [形式検証マイクロカーネルと次世代ネットワークアーキテクチャを統合した高信頼・自律分散プラットフォーム Astrolabe の提案](https://www.gakkai-web.net/ipsj/88/program88.html) - [電子情報通信学会2026年総合大会](https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/general2026) - [国家間WoTとマルチモーダル放送を用いた主権トラスト放送の提案](https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/general2026/presentation/A-7-13) --- ## 高信頼システムプラットフォームを支える3つの要素 [以前の記事](/blog/why-high-reliability-platform)で、なぜ、どのような高信頼システムプラットフォームが必要なのかについて考えてみました。 今回はそのような高信頼システムプラットフォームを構築するために、どのような要素が必要なのかについて考えてみたいと思います。 ## 現代のシステムプラットフォームの構成要素 現代のコンピューターシステムはどんな要素から構成されているのでしょうか。 まず第一がなんといってもコンピューターです。 さまざまな情報処理を行うためのハードウェアとソフトウェアの両方を含むコンピューターはコンピューターシステムの中核的な存在です。 また、コンピューターは情報処理を行うだけではなくさまざまな入出力機器を通じてデータを入出力をおこない、また記録装置を通じてデータの蓄積を行う単位でもあります。 ノートパソコンやデスクトップパソコン、サーバー、スマートフォンや組み込み機器など、さまざまな形態のコンピューターが存在し、それぞれが異なる用途や性能を持っています。 第二に重要な要素がネットワークです。 ネットワークはコンピューター同士が通信するためのインフラストラクチャであり、データの送受信やリソースの共有を可能にします。 現代のコンピューターシステムが大きな発展をとげたのも、ネットワークのひとつであるインターネットが普及し、コンピューター同士が相互に接続されるようになったことが大きな要因のひとつです。 今ではほぼ全てのコンピューターがインターネットによって相互に接続されているといってもよいでしょう。 そしてこれらを裏方として支える第三の要素がトラストです。 トラストとは、暗号技術を基盤として、通信の安全、データの真正性、ソフトウェアや通信相手の身元の確認といった「信頼」をコンピューターシステムに提供する仕組みの総称です。 このように、現代のシステムプラットフォームはコンピューター、ネットワーク、トラストの3つの要素から構成されています。 このなかでコンピューターとネットワークについては既に多くの人が知っていると思いますので、トラストについてもう少し詳しく見てみましょう。 ## システムプラットフォームにおけるトラストの役割 トラストは目に見えにくい存在ですが、現代のコンピューターシステムのあらゆる場面を支えています。 例えばネットワークを通じたデータの送受信は、電波や電線を通じた信号のやりとりによって行われるため、信号を傍受してデータを盗み見たり、途中で信号を差し替えて通信内容を改ざんしたりすることが原理的には可能です。 暗号技術はこのような攻撃に対して通信内容の秘匿と改ざんの検知を可能にし、インターネットを通じた電子商取引やオンラインバンキングを安心して利用できるようにしています。 実際、現在では Chrome ブラウザの通信の大部分が HTTPS(暗号化通信)で行われており[^1]、暗号技術はインターネット利用の基盤となっています。 また、コンピューターにソフトウェアをインストールして動かすということは、そのソフトウェアを信頼し、そのコンピューター上でできることを許可するということにほかなりません。 近年のスマートフォンなどが提供するアプリストアでは、運営者がソフトウェアの安全性を確認したうえで電子署名を行い配布することで、利用者が安全にソフトウェアをインストールできるようにしています[^2]。 さらにインターネットでウェブサイトにアクセスするとき、そのサイトが本物であることを保証しているのが PKI(Public Key Infrastructure) と呼ばれる仕組みです。 ウェブブラウザに表示される鍵マークは、この仕組みによって通信相手の身元が確認されていることを示しています。 これらの例に共通するのは、暗号技術を基盤として「何を信頼してよいか」をシステムが判断できるようにしているという点です。 通信内容が改ざんされていないこと、ソフトウェアが本物であること、通信相手が名乗り通りの相手であること。 こうした信頼の連鎖がなければ、ネットワークで接続されたコンピューター同士が安全に協調して動作することはできません。 ## 3つの要素と高信頼システムプラットフォーム [以前の記事](/blog/why-high-reliability-platform)では、Zero Human 時代のシステムプラットフォームに求められる性質として堅牢性、抗堪性、自律性を挙げました。 これらの性質を実現するためには、コンピューター、ネットワーク、トラストの3つの要素それぞれにおいて従来とは異なるアプローチが必要になります。 弊社ではこの3つの要素の全てについてシステムを根本から再検討し、高信頼システムプラットフォームの構築に取り組んでいます。 今後の記事では、それぞれの要素における具体的な課題と取り組みについてお伝えしていきます。 [^1]: Google, "HTTPS encryption on the web," Google Transparency Report. https://transparencyreport.google.com/https/overview [^2]: Apple, "App security overview," Apple Platform Security. https://support.apple.com/guide/security/app-security-overview-sec35dd877d0/web