なぜ高信頼システムプラットフォームが必要なのか
この記事では、なぜ私達が高信頼システムプラットフォームを開発しようとしているのか、 そしてそれはどのようなものなのかについて考えてみたいと思います。
少子高齢化と高度情報システム
いま、少子高齢化の影響が強く認識されはじめており、日本でも2100年までに人口が約6,300万人1にまで減少することが予測されています。 これにより社会のあらゆる側面で人手不足が深刻化し、労働力の不足が社会機能の維持に大きな影響を与えることが予想されます。
移民による労働力の補填も検討されていますが、少子高齢化の流れは世界的なものであり2、また移民も少子化することがわかっています3。 そのため世界的な移民の奪い合いに勝ち続ける必要があり、根本的に持続不可能であり、問題をより複雑にする対応であると言えます。
残された手段は高度な情報システムによる社会の維持です。 社会機能を情報システムに任せることにより、少子高齢化による人手不足を補うアプローチです。 このような社会では、システムの故障、停止、乗っ取りなどは、社会機能の麻痺や重大事故に直結するようになります。 しかし、現代のシステムはこれからの時代を任せられるだけの信頼性が不足しています。 サイバー攻撃による企業システムの停止4や、重要インフラの停止5など、システムの信頼性に関する問題は大きな社会問題として浮上し、莫大な被害が発生しています。 そして超人手不足の Zero Human 時代には、より厳しい制約が課されることになります。
Zero Human 時代の高信頼システムプラットフォーム
Zero Human 時代のシステムプラットフォームは、 現代のシステムとは求められる性質が大きく異なります。 現代のシステムプラットフォームは、多くの場合で適宜人間が介入することを前提としており、障害、故障が発生した場合は人間が検知し、対応することが期待されています。 しかし、Zero Human 時代では人間の介入が期待できないため、障害や故障に対する許容度が大幅に下がります。 また、どうしても人間の介入が必要な場合でも移動コストが不要なネットワーク経由での介入のみが第一の選択肢となり、物理的な介入へのハードルは非常に高くなります。
このような状況であるため、障害、故障、セキュリティ侵害などは、そもそも起きないことが求められます。 また、人間の介入がネットワーク経由に限定されるため、システムのネットワークへの接続が不可避となります。 そのため、そもそも故障や侵害が発生しない、しにくい、しても影響個所を局限できるという性質、 すなわち堅牢性が強く求められます。
このように、そもそも障害、故障が起きるべきではないが、様々な理由で起きる可能性はゼロにはなりません。 情報システムとしては十分に堅牢であっても、例えば大規模災害などを要因とする物理的干渉に伴う障害、故障は完全に防ぐことはできません。 そのような被害があった場合、直ちに人が介入できず、復旧に長期間を要する可能性があります。 例えば令和6年能登半島地震では、連日約1,000人規模の復旧体制を投入してなお、孤立集落の解消に19日を要しました6。 Zero Human 時代にはこのような大規模な即応体制を組むことは困難であり、物理的な被害からの復旧は大幅に長期化することが予想されます。 そうでなくとも物理的な保守は例えば年に一回の定期巡回によって行うという体制が一般的になると思われます。 このような状況であるため、障害が起きても生き残った機能で極力機能を維持し続けることができることが求められます。 このような性質は抗堪性と呼ばれます。
さらに、Zero Human 時代には多くの点でシステムが自律的に動作することが求められます。 例えば、障害・故障時にシステムが自力でそれらを検知・診断し、回復したり縮退運転を選択したりすることが求められます。 またメンテナンスやアップデート、ハードウェアの更新の際にも、 システムの状態を自律的に管理し、ソフトウェアコンポーネントの自律的な再配置・移動などを行うことが求められます。
このように、Zero Human 時代のシステムプラットフォームは、堅牢性、抗堪性、自律性といった性質を備えることが求められます。 弊社は、高度情報システムによる社会の維持を達成するために、 形式的検証技術と根本からの設計の見直しにより、 超人手不足の Zero Human 時代を支える 高信頼システムプラットフォームの開発に取り組んでいます。